上場ゴールとは
IPOというのは、IPOによって調達した資金や社会的信頼を得て、さらなる会社の成長を目指すための「手段」として考えるべきなのですが、IPOが会社や経営者の「ゴール」になっていると疑われるような会社が時々存在します。
特に以下のような会社は、「上場ゴール」のような会社と呼ばれています。
以上の内容に加え、特に創業者や既存株主がIPO時に株式の売り出しをして、多額の利益を得ている一方、IPO後の株価が低迷している場合、特に「上場ゴール」として強く批判を受ける場合が多くなります。
上場ゴール企業のその後
上場ゴール企業は、どのような”罰則”を受けることになるのでしょうか?
上場ゴール企業に対する明確な罰則等は存在しませんが、証券会社や銀行等との金融機関との関係が疎遠になる可能性が高くなります。
特に主幹事証券会社との関係は、相当冷え込むことになります。
主幹事証券会社は、IPO時に株式を最も多く、顧客に売りつけします。つまり主幹事証券会社の顧客が最も多く、損失または含み損を抱えてしまうからです。
主幹事証券にとっては、損失または含み損を抱えさせた顧客に対して営業しづらいことでしょう。
主幹事証券会社以外の幹事会社も同様です。
つまりこれは、上場ゴールの会社は、上場後に公募増資等のファイナンスがしにくくなったり、一部指定や市場変更等についてサポートを受けにくくなります。
株式会社gumiが上場ゴールと言われる理由
「上場ゴール」として揶揄された会社は、多く存在しますが、このブログではその中の一社として「株式会社gumi」を取り上げます。
なぜ株式会社gumiを取り上げたかといいますと、株式会社gumiは単なる「上場ゴール」として取り上げられただけではなく、「gumiショック」という言葉も発生したほど、IPO業界へ大きくネガティブなインパクトを与えたためです。
表 株式会社gumiが上場ゴールと言われるようになっている主な理由
2014/12/18 | 東証1部へ直接上場! |
---|---|
2015/3/5 | 上場時の経常利益予想12億円強の黒字予想から6億円の赤字予想へ修正を発表 |
2015/3/19 | 海外子会社において横領事件発生との報道 |
2015/3/27 | 希望退職者募集のプレスリリース |
ハードルが極めて高い東証1部へ直接上場を達成した会社が、上場後、たった4カ月強の間に上の表のような事実が連続して発生しました。
上場後の株価は、公開価格3,300円を大きく割り込んだ株価で推移していることからでもわかるように、信用回復までの道は極めて険しいと思われます。
2018年10月14日に同社は、社長をはじめとする3名の取締役に対し5億円強の第三者割当増資を行いましたが、この第三者割当増資に関しても物議を醸しました。この第三者割当増資というのは、IPO時に株価3,300円で自社株式を売却した社長が、上場後の4年弱でその1/5以下の株価である651円で自社株式を買い戻しするというものです。
同社は、この第三者割当増資を行った理由をいくつか述べていますが、この第三者割当増資を行った時点の財務諸表を拝見すると、苦しい状況が見えてきます(これ以上は、あえて控えさせて頂きます)。
さらに、このような事(こちら)をすると、投資家は、さらに感情的になってしまうのではないでしょうか。
IPOは、あくまでも会社成長の手段として考えましょう。
この記事に似た記事として、参考になると思う記事を紹介します。かなりバズりました。
IPOAtoZは、上場準備に関する最新情報をTwitterで発信しています。
ぜひフォローをお願いします。