レオクランの目論見書

2019年10月2日に東証2部へ上場した株式会社レオクランの目論見書を見ると、IPO前のレオクランの資本政策をおおまかに分析すれば、次のようになります。

権利行使(株) IPO時(株) 割合(%)
株式 社長 0 800,000 540,000 29.7
社長財産保全会社 244,000 244,000 244,000 13.4
社長親族 8,000 8,000 8,000 0.4
役職員・従業員持株会 508,000 508,000 508,000 27.9
VC、事業会社 222,000 222,000 222,000 12.2
一般株主 0 0 423,000 23.2
新株予約権 社長 800,000 0 0 0
役職員 35,600 35,600 35,600 1.9
1,817,600 1,817,600 1,980,600 100.0

IPO前に社長へ多くの新株予約権を付与し、IPOが目前に迫った段階になって社長は、新株予約権の権利行使をして筆頭株主になったという事例です。

一番多いのは、会社設立からIPOするときまで、一貫して創業社長がず~っと議決権の多くを握り続けるというケースになりますが、レオクランのケースのように、ストックオプションを絡めることで議決権の獲得維持を行う会社もあります。

ストックオプションを使った資本政策

IPO前にストックオプションを絡めて、議決権の維持を図ろうという資本政策は、よくあるケースです。

例えば、次のように財産保全会社へストックオプション(正確には「新株予約権」)を割当てた事例もあります。

財産保全会社へ新株予約権を割当てた事例【IPO事例-19】

レオクランのような形でストックオプションを資本政策に使うメリットは、IPOの進展が具体的になってからでなければ、資金負担を要しない、また資金負担の金額を押さえる設計ができることです。

レオクランの杉田社長が行ったような資本政策のパターンは、多くの会社で活用されています。

レオクランは、有償ストックオプションを杉田社長へ割当していることからも、IPO目前に権利行使することを想定したストックオプションであったと想像できます。

このパターンは、オーナー社長が資金負担を最小限にして、かつ議決権維持を成功しつつ、IPOを達成した事例として参考に出来そうです。