
IPOに携わると初めて聞く言葉は、山ほどあります。
その中のひとつに後発事象があります。
ここでは後発事象について説明しています。
後発事象とは
決算日の翌日以降から監査報告書の発行日までに発生した事象のうち、財務諸表に影響を与えるものをいいます。
Ⅰの部で言いますと、Ⅰの部で記載した申請期の四半期決算翌日~上場承認日に発生した事象のうち、財務諸表に影響を与えたものとなります。
後発事象に関しては、日本公認会計士協会監査・保証実務委員会報告第76号「後発事象に関する監査上の取扱い」に定められています。
後発事象には、2つのパターンがあります。
後発事象の対応 | |
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修正後発事象 | 事象の原因が決算日以前にあるとされるものは、その重要性により財務諸表の修正を検討しなければならない |
開示後発事象 | 事象の原因は決算日以降であるが、翌期以降の財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えられるものは、注記として財務諸表に記載しなければならない |
Ⅰの部にある後発事象のほとんどは、開示後発事象であり、注記に書けば終わりです。しかし修正後発事象である場合は、過去の財務諸表の修正を行うことになるため、ハードルが高くなります。
修正後発事象としての後発事象
修正後発事象は、過去の決算修正が必要になるため、大変です。上場審査中に、修正後発事象として後発事象を受けなければいけなくなった場合、最悪のケースとして上場延期になります。
次のような事象がⅠの部で記載した申請期の四半期決算翌日~上場承認日に発生した場合に修正後発事象としての後発事象が発生してしまう可能性があります。
- 勝訴・敗訴・和解など訴訟事件に一定の結論が得られた場合
- 工場閉鎖や事業所の閉鎖があった場合
- 退職慰労金の功労加算金を支払う決議をした場合など
開示後発事象としての後発事象
開示後発事象は、頻繁に存在する後発事象です。
次のような事象がⅠの部で記載した申請期の四半期決算翌日~上場承認日に発生した場合に修正後発事象としての後発事象が発生してしまう可能性があります。
- 株式分割
- 単元株採用
- ストックオプション発行
- 新株式発行
- 多額の借入、社債発行など
後発事象の基準
同じ出来事でも「修正後発事象」と「開示後発事象」にするのかで全く扱いが異なります。
例えば、工場や事業所等を閉鎖するようなことがあった場合、「修正後発事象」と「開示後発事象」のどちらも可能性があります。
工場や事業所等が閉鎖した理由によって大きく変わります。
操業度の低下や恒常的な悪収益というのは、工場閉鎖の原因が前決算期までにあることは明らかです。そのため修正後発事象として認識される可能性が極めて高くなります。
上場準備と後発事象
後発事象の内容は、(重要な後発事象)として、目論見書等に記載することになります。
後発事象に該当するようなことは、目論見書の校了日(上場承認日から2週間程度前)までに済ませることが原則になります。
もしそれから遅れた場合は、訂正目論見書等で対応することになりますが、万が一、そのような期間に「修正後発事象」が発生するようなことがあれば、IPOは一旦延期になります。
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