従業員持株会の活性化は、”安定株主づくり”につながります。

一般社団法人 日本 IR 協議会が上場企業にアンケートをとり、1,047社からの回答にもとづき「IR 活動の実態調査」として、結果をまとめたものが公表されました。

上場会社に対するアンケート結果は、IPOを目指す会社にとりましても、上場前後の社内体制について参考になるものが存在します。

この結果をさらにまとめると以下のようになります。(以下 一般社団法人 日本IR協議会 「2020 年「IR 活動の実態調査」結果まとまる」より抜粋)

IRの組織体制に関する主な記述
  • IR業務の担当部署は「独立した専任部署」とする割合が、42.7%(前回54.3%)と最大を占めたが前回より大幅に縮小した。「独立した専任部署はないが、IR専任者を置いている」がこれに続くが、33.6%(同27.8%)とやや拡大した。
  • 「IR専任者」の数は3人以下が42.7%、4人以上が14.8%、専任者なしが39.7%であった。また「IR兼任者」の数は3人以下が61.8%、4人以上が10.8%、兼任者なしが18.7%であった。
  • IR担当者の平均実務経験年数は、3年未満がIR専任者の36.1%、IR兼任者の40.4%を占め、5年未満に拡げると各々63.3%、62.8%に拡大した。さらに26.7%の企業は、IR専任者およびIR兼任者は外部からの採用が「ある」と答えている。
IR活動の目的や効果測定に関する主な記述
  • IR活動の効果測定に用いる指標を聞くと、上位には「株主構成」94.1%、「アナリスト、投資家との面談回数の増減」56.1%、「時価総額」31.3%などが挙がった。
  • IR活動の効果測定指標として「株主構成」を挙げた企業にその目標を尋ねると、「長期保有投資家の株式保有比率向上(インデックス運用投資家を含む)」「特に決まった目標はない」「個人投資家の株式保有比率向上」が上位に並んだ。短期売買中心の投資家・株主の比率を抑えたい企業の思いがにじむ。⇒つまりIR活動の最も大きな目的は、「安定株主づくり」となっています。
IR活動のコストに関する主な記述
  • IR支援会社の利用企業がサービスにかける年平均費用は「アニュアルレポート・統合報告書の作成」が1164.3万円(前回1,078.5万円)、「海外IR活動のサポート」が209.9万円(同127.3万円)、「株主判明調査」が400.7万円(同417.9万円)、「認識調査(パーセプションスタディ)」が183.0万円(同195.0万円)、「会社説明会全般のサポート」が201.2万円(同163.8万円)で、必要コストへの意識が読み取れよう。

このアンケート結果に関するサイトはこちらです。

ポイント

このサイトの中で確認できませんが、このアンケート結果の中で興味深い結果があります。

上場会社が株主の内、「安定株主」として考えている属性のダントツが「従業員持株会」であり、75%超になっています。

ちなみに創業家の持株や金融機関が保有する持株が安定株主であると回答した会社は、50%強程度です。

最も効率的な”安定株主づくり”とは、従業員持株会の活性化と言えることになります。