IPOを目指す会社は、「取締役会を設置する」と「監査役会設置会社または監査等委員会設置会社、もしくは指名委員会等設置会社になる」が必須要件になります。
この作業を「機関設計」といいます。
経営者が機関設計を行う際、まず決めなければいけない基本的な内容と2019年にIPOを達成した会社の状況について説明させていただきます。
期間設計で決めなければいけない内容
- 監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社のどれにするのか
- 取締役の人数の上限を何人にするのか
- 取締役の任期を何年にするのか
- 監査役、または監査等委員の取締役の員数の上限を何人にするのか
- 監査役、または監査等委員の取締役の任期を何年にするのか
会社法では以下のとおりに定められています。
表 会社法で定められている各機関の員数(IPOを目指す会社の場合)
取締役会の構成 | 監査機関の構成 | |
---|---|---|
監査役会設置会社 | 3名以上の取締役で構成 | 監査役により、3名以上で構成 |
監査等委員会設置会社 | 3名以上の取締役で構成 | 監査等委員である取締役により、3名以上で構成 |
指名委員会等設置会社 | 3名以上の取締役で構成 | 各委員会において、3名以上の取締役で構成 |
表 会社法で定められている各機関の任期(IPOを目指す会社の場合)
取締役会の任期 | 監査機関の任期 | |
---|---|---|
監査役会設置会社 | 2年以下 | 4年 |
監査等委員会設置会社 | 1年以下 | 2年 |
指名委員会等設置会社 | 1年以下 | 1年以下 |
どの機関で設計しても、取締役の員数については、会社法で3名以上で構成すればよいことになっています。
ここで「IPOを目指す会社って、どう判断しているのか?」という情報は、気になるはずです。
取締役と監査役の員数と任期の上限
定款の中には、その会社がどの機関を選択しているのか、また取締役の任期と員数の上限をどのようにしているのかが記載されています。
そこで2019年に東証へIPOを達成した会社(TOKYO PRO Market除く)82社の定款を調べてみた結果、次のようになりました。
表 2019年に東証へIPOを達成した会社の機関設計および、取締役と監査役等の員数上限
社数 | 取締役の員数上限平均 | 監査役または監査等委員の員数上限平均 | |
---|---|---|---|
監査役会設置会社 | 62社 | 9.2人※ | 4.3人※ |
監査等委員会設置会社 | 20社 | 8.1人 | 4.5人 |
指名委員会等設置会社 | 0社 | ー | – |
※ 員数の上限が未記載であった会社を除く
- 監査役会設置会社が主流であり、指名委員会等設置会社はゼロでした。
- 取締役の員数の最小は5名であり、最大が16名でした。
監査役会設置会社の取締役の任期については、62社中26社が1年を選択し、36社が2年を選択していました。
まとめ
IPOAtoZは、上場達成企業のⅠの部を中心にあれこれデータ化して、コンサルティングしています。
コーポレートガバナンスをどのようにするのが適切なのかといった参考データをお客様と一緒になって作成しております。
「こんなデータありませんか?」とお考えの方、↓のフォームでお気軽にお問い合わせください。