取引とは
どの会社も「取引先」を保有しています。
一般的な「取引先」いう概念やイメージは、販売先や仕入先、外注先などを指し、会社の営利目的で製品やサービスの売買を行った法人個人として考えられています。
つまり売買が絡まなかった法人個人を取引先として考えない方がほとんどだと思います。
そこで「取引」って何?とイメージすると、売買が絡んでいれば取引として考え、売買が絡んでいないと取引として考えない方がほとんどではないでしょうか。
しかしIPOを目指す会社になると、取引に対するイメージの概念を変える必要があります。
IPOを目指す場合、関連当事者との間で取引があった場合、Ⅰの部等に記載が必要になります。
関連当事者については、ここで説明しています。ご参考ください。
企業会計基準委員会「関連当事者の開示に関する会計基準」を参考にすると「取引」とは、次のような内容になります。
- 対価の有無にかかわらず、資源若しくは債務の移転、又は役務の提供。
- 無償取引や低廉な価格での取引(重要性の判断を行ったうえで決定)。
- 実質上の相手先が関連当事者であり、形式的・名目的に第三者を経由した取引。
例えば、会社役員の家が台風で被害にあい、社員が総出でその役員の家に行き、家財の運び出しや掃除をするといったような事があったとしても、会社と役員の間で取引があったとみなされるということになります。
なお以下のようなケースも取引に該当しますが、関連当事者取引としては開示対象外となります。
- 一般競争入札による取引並びに預金利息及び配当の受取りその他取引の性質からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引
- 役員に対する報酬、賞与及び退職慰労金の支払い
取引行為とは
上場審査等に関するガイドラインⅡ3.には、次のようなことが定められています。
新規上場申請者の企業グループが、次のa及びbに掲げる事項その他の事項から、その関連当事者その他の特定の者との間で、取引行為(間接的な取引行為及び無償の役務の提供及び享受を含む。以下同じ。)その他の経営活動を通じて不当に利益を供与又は享受していないと認められること。
a 新規上場申請者の企業グループとその関連当事者その他の特定の者との間に取引が発生している場合において、当該取引が取引を継続する合理性及び取引価格を含めた取引条件の妥当性を有すること。
b 新規上場申請者の企業グループの関連当事者その他の特定の者が自己の利益を優先することにより、新規上場申請者の企業グループの利益が不当に損なわれる状況にないこと。
Ⅰの部等への開示は「関連当事者との取引」が対象になりますが、上場審査では「関連当事者との取引行為」が対象となります。
取引行為の定義について「新規上場ガイドブック」では次のように書かれています。
事業活動並びに投資活動及び財務活動