「関係会社」とは
まず「関係会社」について説明させていただきます。
関係会社は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の第8条8項で定義されています。
関係会社という言葉は、IPO準備において、また上場後にも多くの箇所で出現するワードです。
どのような場所に関係会社が出現するのかという例をいくつか↓で説明します。
「関係会社」が保有する株式は「流通株式」から除外されます。
- 「上場審査」
企業内容の開示の適性についての上場審査対象は、「関係会社」までになります。
上場審査等に関するガイドライン(Ⅱ 株券等の新規上場審査〔本則市場〕10.aなど)
- Ⅰの部などへの記載(B/Sや注記など)
「関係会社の状況」の項目にて、親会社、子会社、関連会社及びその他の関係会社に分けて、その名称、住所、資本金又は出資金、主要な事業の内容、議決権に対する提出会社の所有割合及び提出会社と関係会社との関係内容(例えば、役員の兼任等、資金援助、営業上の取引、設備の賃貸借、業務提携等の関係内容をいう。)を記載する必要があります。
B/Sにおける「投資その他資産」の中には、関係会社の資産区分を表記する事になることや、関係会社との取引の大きさ等によって注記が必要になります
財務諸表等規則第32条、第39条ほか
金融商品取引法にも「関係会社」の定義が存在しますが、上場準備作業には関係ないと判断し、省略しています。
関係会社と関連会社の違い
「関係会社」は、「関連会社」と「親会社」、「子会社」、「その他の関係会社」を含めた会社群です。
したがいまして、関係会社の方が対象が拡がります。
関連会社については、こちらで説明しています。
人的関係会社
「人的関係会社」は、「企業内容等の開示に関する内閣府令第1条第31項ハ」で定められている用語でありまして、特別利害関係者等の範囲に入る会社になります。
「人的関係会社」が株式を購入したり、「人的関係会社」が保有する株式を売却したりすれば、Ⅰの部などにある「特別利害関係者等の株式等の移動」という項目に記載する必要があります。
- 人的関係会社
- 人事、資金、取引等の関係を通じて、当該会社が、他の会社を実質的に支配している場合又は他の会社により実質的に支配されている場合における当該他の会社
上場申請会社が株式を保有していない場合であっても、上場申請会社からの役員の派遣の状況や外注先との取引の状況によって人的関係会社と見做されるケースがあります。
例えば、企業Aのブランド商品の卸販売事業に特化した会社Bは、A社との間で資本関係が無くとも、A社が人的関係会社として見做される可能性があります。
なお特別利害関係者等とはこちらで説明しています。
資本的関係会社
関係会社に類似する用語に「資本的関係会社」があります。
「資本的関係会社」は、「企業内容等の開示に関する内閣府令第1条第31項ハ」で定められている用語でありまして、特別利害関係者等の範囲に入る会社になります。
- 資本的関係会社
-
- 当該会社(当該会社の特別利害関係者を含む。)が他の会社の総株主等の議決権の20%以上を実質的に所有している場合又は他の会社(当該他の会社の特別利害関係者を含む。)が当該会社の総株主等の議決権の20%以上を実質的に所有している場合における当該他の会社
その他の関係会社
関係会社と類似する用語のひとつとして、「その他の関係会社」という用語もあります。
「その他の関係会社」は、「関係会社」と直接リンクする用語ではなく「関連会社」と直接リンクします。
「その他の関係会社」については、こちらで説明しています。