上場準備作業を進めていくとよく似た用語がいっぱい出てきます。

ここでは、その一つである「関連会社」について取り上げます。

関連会社とは

 関連会社の定義については、いくつか存在しますが、IPOの準備で使う関連会社は、財務諸表等規則に定められた定義中心に使われます。

関連会社(財務諸表等規則第8条第5項・第6項)の要約
  • 「議決権を20%以上保有する会社(子会社を除く)」
  • 「議決権を15%以上20%未満を保有する会社の内、一定の要件をもつ会社
  • 「議決権を15%未満保有する会社の内、出資や資金等で緊密な関係を持つ者や会社と合算すれば、20%以上を保有することになり、かつ一定の要件をもつ会社
一定の要件をもつ会社(財務諸表等規則第8条第6項)の要約
  1. 役員や使用人が、もしくは役員や使用人であった人が、取締役もしくは取締役に準ずる役職に就任している場合。
  2. 重要な融資をしている場合。
  3. 重要な技術を提供している場合。
  4. 重要な販売、仕入れその他の営業上・事業上の取引がある場合。
  5. 財務方針や営業・事業方針の決定に対して重要な影響を与える場合など。

※ 以上の解説はすべてを網羅しているものではありません。

関連会社と関係会社の違い

色々な箇所に波及している重要な用語であり、「関係会社」とは範囲が異なります。

また「〇△会社」という用語は、IPOの準備によく出てくることになりますが、特に「関連会社」と「関係会社」は混同しやすい用語です。

「関係会社」と「関連会社」の違いを簡単に言いますと、「関係会社」の方が「関連会社」より対象が広いということになります。

例えば「関係会社」には、親会社と子会社が含まれますが、関連会社には含まれません。

関係会社については、ここで説明しています。

「関係会社」「人的関係会社」「資本的関係会社」とは【混乱しやすいIPO用語】

 

その他の関係会社とは

その他関係会社は、財務諸表等規則第8条第8項に定義されています。

「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」第8条第8項

この規則において~(中略)~財務諸表提出会社が他の会社等の関連会社である場合における当該他の会社等(第十七項第四号において「その他の関係会社」という。)をいう。

「その他の関係会社」と直接関係するのは、「関連会社」であり、「関係会社」ではないことがわかります。

A社にとってB社が「関連会社」である場合、B社にとってA社が「その他の関係会社」になります。

「関連会社」と関係する用語

関連会社は、IPO準備に関する色々な用語に関係します。

主なところを次で説明します。 ⇒ 「関係会社」と「関連会社」の理解が混乱する引っ掛けポイントです!

「関連会社」の主な波及先
  • 「関係会社」

「関係会社」の定義の中に「関連会社」が存在します。したがいまして「関係会社」の方が、「関連会社」よりも広範囲になります。

「関連当事者」は、「関連会社」とリンクしていますが、「関係会社」とは直接リンクしていません。

  • 「持分法の適用」や「自己株式数」など

「関連会社」は、連結財務諸表等規則において、重要ワードです。

上場審査は、会社の企業グループに対して審査を行います。企業グループの定義には、「関連会社」が含まれています(ちなみに「関係会社」は含まれていません)。

有価証券上場規程第2条(26)、第207条柱書など)

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