スタートアップ企業の中には、資金に乏しい中、技術や経営のキーマンを探すことになります。
そこで経営者は即戦力になりそうな人へ「うちの会社給料安いけど、ストックオプションを割り当てるから、入社してくれへん?」と誘って、たま~に、たま~に、リクルーティングの活動中にストックオプションを割当てしている会社があります。
ここでは、入社前の人にストックオプションを割当てする際の主な注意点について説明させていただきます。
引き抜き行為
入社前であるにも関わらず、ストックオプションを割当てられる人とは、きっと前職でも活躍しているような人だと思います。
そのような人に対して、例えば前職の退職前にストックオプションを割当てすると、最悪のケースとして、損害賠償請求を受ける危険性があります。
IPOを達成した会社は、目論見書やⅠの部等でストックオプションの割当対象者の氏名や住所(市区町村まで)、割当日等を開示することになります。
したがいまして、前職の会社にバレやすくなると考えておくべきということになります。
入社予定者にストックオプションを割当てしようとする場合、最低限、ストックオプションの割当決議日や割当日等は、当該入社予定者が前職の退職後にしなければいけません。
税制適格ストックオプションの割当対象者として認められない
ストックオプションは、いくつかタイプがありまして、その中で最もメジャーなストックオプションは、税制適格ストックオプションになります。
税制適格ストックオプションについては↓で説明しています。ご参考ください。
税制適格ストックオプションを割当対象者として認められるためには、割当対象者の要件があります。
入社予定者は、その要件に含まれていません。
割当対象者は、ストックオプションを権利行使する際、所得税を納税する必要があります。
金融商品取引法の注意が必要になる
入社予定者は、あくまでも会社にとって外部者であり、社員ではありません。
社員以外にストックオプションを割当てした場合、金融商品取引法にも配慮が必要になります。
これを忘れてしまって、ストックオプションを発行してしまうと、最悪のケースで5年間、上場が出来なくなります。
↓で説明していますので、ご参考下さい。
まとめ
入社前の人にストックオプション割当てする場合の主な注意点を説明させていただきました。
私の担当者がもし、このような事を行っていれば、まず、引き抜き行為に該当しないかどうかについて慎重に考え、顧問弁護士に相談することを指導すると思います。
損害賠償で訴えられるリスクがあれば、控えるべきと考えます。
IPOAtoZの調査によると、2019年1月以降、この記事を作成するまでに226社ありますが、その中の2社で入社予定者に対し、ストックオプションを付与していました。↓になります。
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