引受審査や上場審査では、規程の整備状況と運営状況を確認され、直前々期の期末までに整備が必要になります。

規程については、直前々期の期末までに整備し、直前期に運用しながら規程遵守状況の確認と修正箇所の洗い出しを行い、直前期末までに一定レベル仕上げます。ここでは規程作成のポイントとおススメ本を紹介させていただきます。

規程整備のポイント

株式公開の準備における、規程整備のポイントは以下のとおりです。

  • 規程の作成は、通常「会社規程集」を購入する事から始まりますが、丸写し状態のままで引受審査へ入るのは、リスクがあります。
  • 監査法人、弁護士、社労士などの専門家へ規程内容を相談しましょう。
  • 相互に関連性を有する規程(例えば、「職務分掌規程」「職務権限規程」「稟議規程」)は、内容に整合性があり、矛盾がないようにしましょう。
  • 子会社も含めて、規程を整備し、十分な運用が必要です。
  • 当初は、あまりにもガチっと作りすぎるのではなく、自由度が効いた規程をおススメします。

表 規程の体系例

基本規程 「定款」「取締役会規程」「監査役会規程」「株式取扱規程」「規程管理規程」「株主総会運営規程」「執行役員規程」
組織規程 「組織規程」「職務分掌規程」「職務権限規程」「稟議規程」
業務規程 「販売管理規程」「与信管理規程」「購買管理規程」「生産管理規程」「経理規程」「棚卸資産管理規程」「固定資産管理規程」「リース資産管理規程」「原価計算規程」「予算管理規程」「子会社管理規程」「内部監査規程」「デリバティブ管理規程」「外注管理規程」
労務規程 「就業規則」「給与規程」「退職金規程」「人事考課規程」「安全衛生管理規程」「出向規程」「社内発明考案取扱規程」
法務規程 「個人情報管理規程」「コンプライアンス規程」「リスク管理規程」
総務規程 「文章管理規程」「印章管理規程」「車両管理規程」「旅費規程」

その他、上場直前には、「インサイダー取引防止規程」の作成が必要になります。

上場までの規程整備プロセス

すべての規程は、直前々期の期末までに施行する必要があります。

そして直前期と申請期で規程の運用をしながら、社内での遵守状況の調査や課題を発掘し、改訂を含めた検討を行います。

直前々期と直前期以降の規程の整備に関するスケジュールは、次のようになります。

表 規程整備に関する主な活動内容

主な活動内容
直前々期
  • 期末までに、全ての規程を取締役会に上程し、施行しましょう
  • 各種業務系のシステムが規程とマッチしているかを確認しましょう
直前期・申請期
  • 規程の運用を開始しましょう
  • 内部監査部門を中心として、全ての規程の遵守状況を確認しましょう。規程の遵守状況に問題課題があった場合は、規程の改訂を含めて、期末までに規程の内容を検討しましょう

規程作成のおススメ本

直前々期の期初に社内規程を全面的に見直している会社は、高い割合を占めています。

その際、規程集があると非常に便利です。

規程集を選ぶときのポイントは、以下のとおりになります。

規程集を選ぶときのポイント
  1. 出来るだけ直近に発行された本
  2. CD-ROMが入っていると便利
  3. 株式会社日本法令が発行した本がブランド(某大手弁護士事務所の本棚には、日本法令の規程集をフルセットあります)
  • 「インサイダー取引防止規程」以外の規程のひな型を証券会社や監査法人等に要求するのは止めましょう(本をコピーする事や、CD-ROMの貸し借りは違法です)。
  • 「インサイダー取引防止規程」のひな型については、主幹事証券会社に相談することをおススメします。証券会社の売買管理部門は、独自にモデル規程を整備しているところがあります。