カルロスゴーン事件は、法を動かしました。
取締役等の報酬等の内容の決定手続等に関する透明性を向上させること、また株式会社が業績連動報酬等を適正かつ円滑に付与できるようにすることを目的とした改正が行われます。
改正する内容は、以下のような内容です。
表 取締役の報酬等に関する改正内容
現行 | 今後 | |
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取締役の個別の報酬等の内容についての決定方針 | 特になし(監査等委員設置会社における監査等委員である取締役については規則が存在) | 上場会社等の取締役会は、定款または株主総会の決議により取締役(監査等委員である取締役を除く)の個人別の報酬等の内容が具体的に定められていない場合には、その内容についての決定に関する方針を決定しなければいけない(会社法361条7項) |
取締役の個別の報酬等の内容についての決定方針(「報酬等の決定方針」といいます)については、以下のような留意点等があります。
表 報酬等の決定方針に関する主な留意点等
項目 | 内容 | 関連条文 |
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決定方針の内容 | 報酬等の種類や決定の手続きが定められる模様(本ブログ作成以降に法務省令で定められる予定) | – |
開示 | 事業報告の内容に含めることになる模様(本ブログ作成以降に法務省令で定められる予定) | – |
金銭でない報酬の具体的内容 | 株式報酬または新株予約権を報酬として付与する場合は、付与する株式または新株予約権の上限(株式の場合は、株式の種類も)を定款または株主総会で決議する | 361条1項3号 |
説明義務 | 株主総会で、取締役等への金銭報酬等に関する改定議案を株主総会に提出した取締役は、”相当とする理由”を説明しなければならない | 361条4項 |
報酬等の決定方針を義務付けされる会社は、監査役会設置会社である公開会社かつ大会社、また監査等委員会設置会社に義務付けされます。
報酬等の決定方針を定めなかった場合、または定めた方針を違反して報酬等の内容を決定した場合、会社法違反になります。