上場準備担当者になると、初めて知るような用語、または、よく似た用語が出てきます。
例えば、東証の規程である「有価証券上場規程」には、「企業集団」と「企業グループ」というよく似た用語が存在します。
集団とグループは同じ意味なので、一般的な見地からすれば、「企業集団」と「企業グループ」は同じ意味になります。
しかし東証では、「企業集団」と「企業グループ」を使い分けしています。
ここでは「企業集団」とは何か?また「企業集団」と「企業グループ」の違いについて紹介させていただきます。
「企業集団」とは、会計の用語です
企業集団とは、「連結財務諸表提出会社及びその子会社」、つまり「上場申請会社と子会社」になります。
「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」の第4条第1項第1号に規定されています。
企業集団に関するこの定義と用語は、上場時に作成するⅠの部や目論見書等のフォーマットを定めている「企業内容等の開示に関する内閣府令」、また東証が定める有価証券上場規程、金融商品取引法にも同じ定義として使用されています。
「企業集団」と「企業グループ」の違い
企業集団と類似する用語として企業グループがあります。
企業グループについては、↓で説明しています。
企業集団と企業グループについては、主に表1のような違いがあります。
表1 企業集団と企業グループの違い
企業集団 | 企業グループ | |
---|---|---|
応用範囲 | 会計、金商法等 | 東証上場審査 |
上場申請会社 | 〇 | 〇 |
子会社 | 〇 | 〇 |
関連会社 | - | 〇 |
企業集団と企業グループの違いは、関連会社が含まれているかどうかになります。
なお関連会社については、↓で説明しています。ご参考ください。
企業集団は、会計や開示等、広範囲に登場する一方、企業グループはあくまでも上場審査に限定して登場する用語になります。
企業集団の応用範囲
企業集団という用語は、会計や開示に出てきます。
企業グループも含め、主な応用範囲について表2にて紹介させていただきます。
表2 企業集団と企業グループの応用範囲
企業集団 | 企業グループ | |
---|---|---|
実質審査基準に関する上場審査対象 | - | 〇 |
Ⅰの部・有価証券届出書・目論見書・有価証券報告書 | 〇 | 注 |
企業グループの構造に係るリスク情報に関する報告書 | - | 〇 |
内部統制の範囲 | 〇 | - |
有価証券新規上場申請書 | 〇 | - |
業績予想公表または修正 | 〇 | - |
インサイダー取引の禁止行為 | 〇 |
注:企業グループとしての記載等は無いものの、関連会社は存在します。
なお、税制や建築業制度においても企業集団という用語が登場しますが、上場準備とは直接関係ないため、紹介だけで、説明等は割愛させていただきます。
「企業集団等所得課税規程」:関連する国税庁のサイトはこちらになります。
「企業集団確認申請」:関連する国土交通省のサイトはこちらになります。