上場準備を初めて携わると、類似用語が数多く出てきます。
例えば、↓のような用語です。
訳がわかりませんね。
類似用語の中には、役員に関連する用語も存在します。
ここでは「一時役員」を紹介します。
役員の員数をギリギリに抑えたいとお考えの会社関係者の方々にとりまして、参考になればと思います。
記事の内容は、ブログの中の人が旬刊商事法務の記事を確認しながら書いておりますが、内容を保証するものではなく、ご不安な方は、直接、条文をお読みくださいますようお願いします。
一時取締役選任の事例
「フジッコのおま~めさん」で有名なフジッコ株式会社が2022年4月22日に「一時取締役の選任に関するお知らせ」をリリースしています。こちらになります。
内容を読んでいきますと、次のようになります。
- 監査等委員である取締役が逝去したことを受け、監査等委員である取締役の法定員数を欠くことになってしまった。
- 一時取締役を選任することによって、法定員数を満たせた。
- 取締役の選任は株主総会決議になるが、一時取締役の選任は裁判所が決めた。
EDINETを使って、一時取締役で検索しますと、株式会社ミサワ、 株式会社ウェッジホールディングス、株式会社アルメディオ、タカノ株式会社が一時取締役を選任した実績が存在することがわかりました。
一方、上場達成会社が上場達成時点における役員に一時役員が存在する事例は、検索出来ませんでした。
一時役員とは
会社法第346条第1項~第3項は、以下のようになっています。
(役員等に欠員を生じた場合の措置)
- 役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)が欠けた場合又は会社法若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。
- 前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時役員の職務を行うべき者を選任することができる。
- 裁判所は、前項の一時役員の職務を行うべき者を選任した場合には、株式会社がその者に対して支払う報酬の額を定めることができる。
つまり、役員が欠けた場合、裁判所へ駆け込めば、株主総会を待たずに一時役員を選任できるということになります。
しかし、いつ何時でも一時役員を選任できるわけでもなく、役員が欠けた場合を含む一時役員選任の必要性が無ければいけません。
手続き等につきましては、裁判所のサイトを紹介します。こちらになります。
フジッコは、3月決算の会社です。決算月に取締役が逝去しました。急遽、新任の取締役候補者を選任するためだけに臨時株主総会を開催せず、一時役員を選任することにしたと考えられます。
一時役員と補欠役員
一時役員に似た役員として、補欠役員という制度が会社法第329条の3項に存在します。
補欠役員とは、一時役員を選任するようなバタバタを起こさない予防策でありまして、役員の員数を欠くことと未然に防ぐための制度です。
上場達成会社の事例がありますので、↓をご参考ください。
上場達成企業の中には、上場時に補欠役員(補欠取締役、補欠監査役)を選任している事例がいくつも存在します。
役員の員数がギリギリの場合、フジッコのようにバタバタになるリスクがありますので、事前に補欠役員の選任も一考だと思います。
役員(取締役・監査役)に関連する類似用語
IPOAtoZでは、この記事で取り上げた一時役員や補欠役員の他、このブログ記事作成段階で、役員に関しましては、以下のような類似用語を紹介しています。
もし、IPOに関連する類似用語の情報を頂けますと、有難く存じます。
まとめ
ここでは、一時役員を紹介させていただきました。
繰り返しになりますが、このような取締役を選任する必要がないように補欠役員の選任をお勧めします。
ブログの中の人は、過去、証券会社勤務時代に類似用語の解釈でミスを犯してしまった経緯がありまして、このような記事をまとめています。
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