親引けとは(2022/7/1更新)

IPO時には、株式市場へ株式を放出する際、その株式を誰に販売するかどうかは、引受証券会社が決定することになります。

しかし、一部の株式については、販売先を指定できます。その行為を「親引け」といいます。

用語の定義は、日本証券業協会の「株券等の募集等の引受け等に係る顧客への配分に関する規則」の第2条第2項に定められています。

また、親引けに関するガイドラインとして、日本証券業協会による「親引けガイドライン」が存在します。

親引けは、原則禁止されておりますが、以下のような理由があれば、親引けは認められる可能性が高いとされています。

親引けが例外的に認められる可能性があるケース(「親引けガイドライン」3(1)より)
  1. 連結関係又は持分法適用関係を維持するために必要な場合
  2. 企業グループ全体での持株比率を維持するために必要な場合
  3. 業務提携の関係にある株主がその持株比率を維持するため又は当該関係を形成しようとする者が一定の株式を保有するために必要な場合
  4. 株券の募集又は売出しの場合で、当該募集及び売出しに係る株式数の 10%を限度として持株会等を対象とするとき。
  5. 発行者(連結子会社又は持分法適用会社を含む。)の取締役等又は従業員若しくはその予定者に報酬、給与又は賞与として新株予約権を配分する場合
  6. 発行者のコーポレートガバナンス向上又は企業価値の向上(発行者の信用力の向上によるものを含む。)に資する機関投資家等に配分する場合

親引け先

親引け先は、ほとんどが従業員持株会ですが、一部の会社では、業務提携先に対して、親引けをするケースがあります。

従業員持株会をIPO準備段階から設立する最大のメリットが親引けです。

従業員持株会については、こちらでくわしく説明していますので、ぜひご参考ください。

【上場準備担当者向け】「従業員持株会」をくわしく解説

従業員持株会【IPO用語】

従業員持株会の設立を検討しましょう【IPOのメリット】

親引け先は、従業員持株会以外にも事例は存在します。

表 従業員持株会以外に親引けを実施したIPO事例

親引け実施会社 親引け先
株式会社雪国まいたけ 株式会社神明ホールディングス
 株式会社JTOWER 日本電信電話株式会社
 株式会社EduLab 株式会社増進会ホールディングス
公益財団法人日本英語検定協会
教育開発出版株式会社
株式会社教育デジタルソリューションズ
イーソル株式会社 株式会社デンソー

これらの会社については、「親引けガイドライン」3(1)にあるとおり、連結関係又は持分法適用関係を維持するためや、持株比率を維持するためなどが理由になっています。

親引け先の事例分析

IPOAtoZでは、IPOを達成した会社のⅠの部等の内容をデータ化しています。

そのデータには、親引けに関するデータも入っています。

このデータを使った簡単な分析は次にあります。

持株会への親引けを分析してみました【IPO分析】

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