
SREホールディングス株式会社(以下では「SRE」といいます)と株式会社ランディックスの2社が2019年12月18日に東証マザーズへ上場しました。
両社は、自社で開発したITを駆使して不動産紹介をする事業を企業成長の柱としており、上場日と市場だけではなく、事業内容やビジネスモデルがダブります。
SREは、ソニー株式会社とZホールディングス株式会社(ヤフーやZOZOを運営している会社)の合弁会社であることもあり、ITの技術レベルは、SREの方がランディックスより段違いで高いように思えます。またSREはソニーブランドを押し出しており、SREの方がランディックスより信用力や信頼性が高いように感じます。
しかしIPOの結果は、逆に動きました。
ここではIPO株式の人気について説明させていただきます。
ランディックスとSREホールディングスのIPOの違い
表1 ランディックスとSREホールディングスのIPOの違い①
ランディックス | SREホールディングス | |
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想定公開価格 | 1,530円 | 2,975円 |
公開価格 | 1,630円(+100円) | 2,650円(-325円) |
初値 | 3,660円(+2,030円) | 2,475円(-175円) |
ランディックスの初値は、公開価格から2倍を超え、人気が出ました。一方、同日に上場したSREは公開価格割れを起こし、人気はサッパリでした。
なぜ、同じ日に上場し、同じ業種の銘柄に明暗が出たのでしょう。ソニーブランドを使え、ITのレベルが明らかに高いSREの方が、一見すると人気が出そうなのに、なぜ人気が無かったのでしょう。
SREとランディックスのIPOの違いをさらに表2にまとめます。
表2 ランディックスとSREホールディングスのIPOの違い②
ランディックス | SREホールディングス | |
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公募株式数総計 | 650,000株 | 4,484,600株 |
公募株式内訳 | 公募:400,000株 / 売出:250,000株 | 公募:1,400,000株 / 売出:3,084,600株 |
公募株式における売出株式比率 | 38.5% | 68.8% |
オーバーアロットメント | 97,500株 | 672,600株 |
オファリング・レシオ | 27.3% | 34.1% |
想定時価総額 | 41.8億円 | 450億円 |
予想PER | 5.80倍 | 109.09倍 |
予想PBR | 0.95倍 | 6.10倍 |
まとめ
表2を簡単にまとめると以下のようになります。
表2のまとめ
- 売出株式比率が高いと人気が低下する。
- 投資家は、投資資金が会社成長のために使われ、会社成長によるリターンを期待します。売出株式比率が高いIPOは、投資資金の多くが会社成長のための資金に回らないという事になるため、人気が低下しやすくなります。
- 想定時価総額や公募株式数、オファリングレシオが高いと人気が低下する。
- 株価は需給バランスで決まります。時価総額や公募株式数が多いIPOは、供給量が多くなるため、人気が低下しやすくなります。
- 予想PERや予想PBRが高いと人気が低下する。
- 株価水準が割安または割高を評価する上での重要指標のひとつが予想PERと予想PBRです。SREとランディックスを比べると、ランディックスの方が割安と評価され、IPOセカンダリーの投資家はランディックスの方へ興味が出ます。