上場を準備するにあたって、「~株主」という言葉がいくつか存在します。
その中で「安定株主」という用語は、結構使われる用語ですが、意外と間違った解釈で使われていますので、紹介させていただきます。
安定株主とは
「安定株主」とは、”一般的に”長期的に継続して自社株式を保有してくれる株主のことであると言われています。
ここで”一般的に”と説明したのは「安定株主」の定義は、法規則で明記されていないためです。
例えば巷の専門サイトには、「会社経営者は、安定株主」として説明しているサイトがあります。
一般的には、間違っていませんが、厳密に言えば、間違っています。
会社経営者は安定株主であると考える会社があれば、そう考えない会社も存在するからです。
↓で軽く触れています。
↑の記事では、安定株主として最も認識されているのが従業員持株会になっています。
安定株主の類語
大株主・主要株主・支配株主
「安定株主」によく似た用語として、「大株主」や「主要株主」「支配株主」があります。
「安定株主」は、定義が明確にされていない一方、「大株主」や「主要株主」「支配株主」には、法や規則で定義がそれぞれ明確化されています。
上場を目指す会社にとって、これらの用語の利用場面は、主に次のようになっています。
用語 | 主な利用場面 |
---|---|
安定株主 | 資本政策を立案する際に利用 |
大株主 | 特別利害関係者等の範囲を検討する際に利用 |
主要株主 | 関連当事者の範囲を検討する際に利用 |
支配株主 | 上場申請時での提出書類(「支配株主等に関する事項」「コーポレートガバナンス報告書」)を作成する際に利用 |
↓で説明しておりますので、ご参考下さい。
流通性の乏しい株券等
「安定株主が保有する株式」とよく似た用語として、「流通性の乏しい株券等」という用語があります。
これは、IPOを達成するための形式要件に関連する用語になります。
なおこの定義については、2022年4月に予定している新市場区分への変更に伴い、見直しがされます。
↓で紹介していますので、ご参考ください。
安定株主のメリット
安定株主を増やすことは、主に次のようなメリットや狙いがあると言われています。
- 敵対的買収を難しくさせる
- 株主総会の議案を、経営陣の思惑通りに決議させやすくする
- 株式売却を抑えることにより、株価の向上・安定化をはかる
一般的にIPOするとき、安定株主の比率が高いIPOの方が、安定株主の比率が低いIPOよりも人気が出やすくなります。
しかし目論見書やⅠの部などで「この人は安定株主ですよ」という説明や開示は必要ありません。
安定株主とコーポレートガバナンス
安定株主の代表格として、政策保有株式という株式があります。
コーポレートガバナンスを高めるためには、政策保有株式は縮減すべきという流れがありまして、東証が定めるコーポレートガバナンス・コードにおいて、「政策保有株式に関する方針を示すべき」という一文が存在します。
↓で紹介していますので、ご参考下さい