日本の証券市場は、東京、札幌、名古屋、福岡の4都市にあります。

大阪にも証券取引所がありましたが、2013年に東京証券取引所に統合されました。現在は大阪取引所(証券取引所ではありません)として、デリバティブという金融商品の売買取引を中心にした取引所に変わっています。

IPOをするためには、それぞれの証券市場の特徴を知り、自社がどの証券市場を目標とすべきなのかを検討することになります。

なお、それぞれの証券市場の規模は次のようになっています。ここではそれぞれの市場の特徴などについて、簡単に説明させていただきます。

証券市場の規模

国内の証券市場の規模は表1のようになっています。

表1 国内の証券市場の規模比較

上場会社数(2020年9月末現在) 年間売買代金(2019年)
東京証券取引所 3,702社 696兆円
名古屋証券取引所 67社 1,237億円
札幌証券取引所 17社 850億円
福岡証券取引所 26社 214億円

出所:各証券取引所資料に基づき作成

表1を見ればわかるように、東京にある東京証券取引所(このサイトでは、「東証」と呼んでいます)の規模がダントツです。

例えば、名古屋、札幌、福岡証券取引所(「地方市場」といいます)の年間売買代金を合算しても、東京証券取引所でたった一日の間に売買される売買代金に遠く及ばないという状況です。

これはIPOの価値の高さに比例しており、IPOを目指す全ての会社は、東証への上場を目標とするといって過言ではありません。

しかし、価値の高さは、IPOのハードルに比例します。東京証券取引所へのIPOは、地方市場へのIPOより、ハードルが高くなります。

表2 IPOに関する東証と地方市場の違い

東証 地方市場(名古屋・福岡・札幌)
選択のメリット
  • 投資家等からの信頼性が高くなり、株式の売買が活発に行われる。
  • IPOのハードルが東証より低いため、東証よりもIPOしやすい。
選択のデメリット
  • 地方市場より、IPOのハードルが高い。

IPOを目指す会社のほぼ全ては、東証を目指すといって過言ではなく、大手証券会社の中には地方市場への上場を目標とする会社とは契約しない会社があるほどです。

東証の区分

東証の中には、図1のように5つの市場が存在しておりまして、東証へIPOをしようとすると、5つの市場の内、どれかの市場を選択するかを決める必要があります。

図1 東証における市場の関係

東証には本則市場という第一部と第二部で構成されている市場があります。ソニーやNTT、トヨタ自動車等、日本国民の誰もが知っているような大企業が上場する中心的な市場です。東証第一部は、上場会社にとって、最終目標となる市場に位置づけされておりまして、第一部に上場された株式は、信用力が最も高いイメージが捉えられており、国内外の投資家によって活発に売買されています。

新興市場は、マザースとJASDAQで構成されておりまして、成長過程にある会社が中心に株式公開を達成しています。

それぞれの証券市場の概要を東証は、このように考えています。

表 東証の市場概要

市場 市場の概要
市場第一部・市場第二部 市場第一部・市場第二部は、国内外を代表する大企業・中堅企業が上場する日本の中心的な株式市場です。特に、市場第一部は海外投資家が売買の太宗を占める国際的な市場として、市場の規模や流動性においても世界のトップクラスの市場です。
マザーズ マザーズは、近い将来の市場第一部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。そのため、申請会社には「高い成長可能性」を求めています。申請会社が高い成長可能性を有しているか否かについては、主幹事証券会社がビジネスモデルや事業環境などを基に評価・判断します。多くの成長企業に資金調達の場を提供するという観点から、その上場対象とする企業について、規模や業種などによる制限を設けていません。マザーズ上場後、多くの企業が市場第一部にステップアップしています。
JASDAQ JASDAQは、1.信頼性、2.革新性、3.地域・国際性という3つのコンセプトを掲げる市場です。また、一定の事業規模と実績を有する成長企業を対象とした「スタンダード」、特色ある技術やビジネスモデルを有し、より将来の成長可能性に富んだ企業群を対象とした「グロース」という2つの異なる内訳区分を設けています。

出所:日本取引所グループホームページ(https://www.jpx.co.jp/equities/products/stocks/outline/index.html)より

それぞれの市場には、各市場のコンセプトを維持するために、IPOをするための要件があります。

その要件は、2つ存在していますが、そのうち、形式要件というものが大きく異なります。

各市場の形式要件については、こちらをご参考ください。

形式要件【IPO用語】

東京証券取引所は、市場区分の見直します

東証は、2022年4月1日、図1にあるような第1部、第2部、マザーズ、ジャスダックスタンダード、ジャスダックグロースという5つの市場を3つの市場に見直す予定になっています。こちらの記事をご参考ください。

東証の市場区分が変わります

東証1部は、プライム市場(仮称)に移行します。

東証2部とジャスダックスタンダード市場は、スタンダード市場(仮称)へ移行されます。

マザーズとジャスダックグロース市場は、グロース市場(仮称)に移行されます。